『賢治作品の絵本化の難しさ』
私が、初めて、「注文の多い料理店」を読んだのは、小学生の時の事である。山の中で、お腹を空かせて、料理店に入った二人のお客が、逆に食べられそうに成ると言ふ話に、「こんな面白い話が有るものだろうか?」と思った事を記憶している。以来、「注文の多い料理店」は、私の大好きな作品である。しかし、その様に、この作品(「注文の多い料理店」)への思ひ入れは強いので、残念ながら、この絵本には、満足出来無い。と言ふより、春日部たすく氏が、岩波書店の単行本に描いた絵を別とすれば、賢治作品の絵本で、私が好きに成った絵本は、今まで、一つも無いのである。(画家には、お許し頂きたい。それでも、この画家の絵自体は、好きである。)賢治作品以外の世界で、この画家の作品に出会ふ事を楽しみにして居る。