『ため息がでる影絵』
藤城さんの影絵が美しすぎます。
プラチスラバ国際絵本原画コンクール、金のりんご賞受賞のロングセラー絵本です。「銀河鉄道の夜」の物語は言うまでもなくすばらしいが、単なる画集と思ってこれを買っても後悔はしないでしょう!
本作品では、宮沢賢治の幻想的な物語の雰囲気がそのままに、
いや、ファンタジー度合いはさらに増長される雰囲気で出ています。
物語は絵本用に原作をコンパクトにした内容ですが、
要点は外さずに読みやすくなっています。
宮沢賢治の美しい日本語も多くがその雰囲気をそのままに残しています。原作とこれをいったりきたりしながら読むことで、宮沢賢治が伝えたかった世界観、真理の追究が味わえるのではないかと思います。
「人は何のために生き、何のために死ぬのか」
このテーマは、賢治が傾倒した法華経にも通じるのでしょう。
2008年で84歳になる藤城さんはまだ現役。
自分が小さいころにもおそらく彼の影絵作品は見たことがあると思うのですが、こんなクオリティの高い作品の良さがわかるようになったのはこの年になってから。
良いものは子供時代にこそ触れておくべきものだと思います。