『2人の天才発明家の業績をうまく要約、ただし最終章の考察は肩すかし』
テスラについての書を持つ新戸雅章氏の著書。今回は同時代に生きた二人の天才発明家、エジソンとテスラの業績を紹介し、彼らの対照的な思考方法や生き方、評価などを述べている。200ページ程度の分量を9章にわけ、最終章ではひらめきを生むための思考法について著者の考えを述べている。高校生以上であれば誰でも数時間で読破可能。
エジソンは誰もが知っている発明家であるが、テスラはほとんど知られていない。しかし、テスラは携帯電話など現在の生活に欠かせない発明をした偉人である。なぜこうまで差があるのかという疑問について、本書を読めば答えがわかるように解説している。記述はそれぞれの伝記などで紹介されているが、本書はそれぞれの特徴をうまく要約していると思う。
難点は一部に怪しい記載がある(送電のロスは電圧とは無関係、など)。『机に向かうエジソン』といった漠然とした写真のように、本文とはあまり関係のない写真が多すぎる。行間が広いわりに文字が小さく読みづらい。また、最終章は科学的な考察とは言い難い、ありきたりな考察であったり、重複が多いなど、肩すかしの内容となっているため、むしろなかった方がいいように感じる。これは、茂木健一郎氏の『ひらめき脳』を参考にしていることにも起因すると思う。
最終章以外は、読み物として面白いし、両者について知らなければ星4つ程度は楽しめると思う。上記問題点を考慮し、星3つの評価。