『フォーカスの定まらないインド・ガイドブック』
以前の『地球の歩き方 インド』からみると,次第に改訂が進んではいる. そのよい面は,旅行者の主観的報告が減ったこと,著名な観光スポットにイラスト入りに鑑賞点を説明するなどヴィジュアル面を積極的に打ち出した点などである. 対して,主要鉄道時刻表が削除されたこと,バックパッカー,ツァー旅行者,豪華個人旅行者いずれに焦点をあてているのか,ホテルやレストラン,商店の選択が不分明になってきている事等は,マイナス面であろう. そして,レイアウトがまずく読みにくいこと,移動交通機関情報が現地対応するには少なすぎること,季節等により変化する観光地の観光時間などきめ細かい情報のチェックが甘いこと,などは『歩き方』の慣行を維持しつづけている,といえる. バックパッカーや現地の詳細な情報を希望する人なら,『ロンリープラネット』,日本語で写真の多さを希望するなら『ワールドガイド』,主要観光スポットの詳細な解説を希望するなら"Eyewitness Travel Guide"がある以上,本書のメリットは改訂が数年に一度しか行われないため,特に価格情報が陳腐化しがちな『ロンリープラネット』(やそもそも宿泊やレストラン情報は少ないが”Eyewitness”)の価格や電話番号の校正=最新情報入手用以上のものではないように思われる.