『心構えができる、自信ができる』
本書の冒頭には「こちら○○になります」「お会計のほう」などの若者言葉を取り上げ、軟弱な心理が見え隠れするのでやめた方がよいと言っています。ただし、著者は若者言葉を攻撃する単なる頭の固いおじさんではありません。50歳間近に大学院に入り、「若者言葉」について修士論文を書いたという、この問題の一家言の持ち主なのでした。
著者は若者言葉33語をピックアップして、約200人の大学生にアンケートを行いました。その結果、こうした若者言葉を使う人ほど自己主張能力が優れている。自分の言いたいことをきちんと相手に伝える力をより強く持っている、という意外な結果が得られました。
こういう若者は単に軟弱なのではなく、相手の立場を尊重して友好関係を損なわないように十分配慮をしている。しかも、自分の思いや言いたいことを巧みに伝える、という技術に長けているようなのです。
ちょっと驚きですねぇ。
また、本書には、会話を通じて人間関係を円滑にするコミュニケーション手法がたくさん載っています。
具体的なノウハウは本書を読んでいただくとして、私が感じたのは「私はあなたのことが好きです。興味を持っています。もっと話しを聞かせてください」という心構えが大切だ、ということです。
たとえば、著者が仕事で誰かと対談するとき、相手の著作のキャッチコピーには敢えて触れません。「(主人公の)○○が泊まったホテルには私も3年前に行きました」というような、本の細部についての雑談をさりげなく言うことによって、「あなたの作品はしっかり読んでいますよ」というメッセージを伝えるとのこと。
本書を読み終わると、なんだか話し上手、聞き上手になったような気がしてきます。もちろん、本物のコミュニケーション上手になるには日々の実践を欠くことはできませんが、心構えができる、自信ができるとういのは、すごいことです。
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