『次回ちょっと試してみたくなる「常識」にいくつか出あえた』
著者は1960年東京出身で現在はニューヨーク在住。複数の外資系高級ホテルを経て、1994年からNYのプラザホテルに10年間務めた人物。NYプラザホテルといえば、85年のG5による円高ドル安に向けたプラザ合意の舞台となった場所。残念ながら著者はその頃はまだ別のホテルに勤めていたので、プラザ合意の舞台裏話は本書には登場しません。
本書はまず、ホテル・スタッフの興味深い裏事情について教えてくれます。
ベルボーイやドアマンよりもハウスキーパーの方が基本給が高いというのは意外な事実です。ベルボーイたちは直接宿泊客と接する機会があるのでその分チップを期待できるが、ハウスキーパーはそうではないというのが理由だとか。
コンセルジュとは別にゲスト・リレーションとよばれるVIP対応専用のスタッフや、バトラーというさらにゲストの身近に待機して「パーソナルタッチのサービス」を提供するスタッフがいるというのは初めて知りました。もちろんVIPではない私には縁遠い存在ですが。
そんな私にも今後使えるかもしれない、NYのホテルを上手に利用するコツがいくつか紹介されています。
大都市のホテルでは観光客よりもビジネスマンの方が金離れが良いと見られているので、予約を入れる際に滞在の目的を聞かれたら「商用」と答えるべき。「観光」と答えると、混み合っている時には満室だと断られる危険があるとか。
外で購入した飲み物を冷やすにはミニバーを使うのではなく、その上にのっているバケツを持って廊下にある製氷機から氷を持ってきて利用する。
アメリカ人相手に商談する時はなめられないように高級ホテルに宿泊する。また靴もよく磨いておくこと。
バイキング宴会は量が多めに用意されるので、ウエイターがサーブしてくれる形式のディナーより割高になる。
NYに限らず、次回海外へ旅する機会にちょっと試してみたくなる情報がうれしい一冊でした。