『ベストだと思います』
グリム童話の中でも有名な一編です。
10年くらい前、図書館の児童室に勤めていたことがあり、この話についてはいろいろなバージョンを目にする機会がありました。その中で、一番自分がしっくり来たのがこの本でしたので、「自宅用」に購入しました。
まず、絵がいいです。写真で見ると地味なようですが、私はグリム童話にはこの人の絵が一番合っていると思っています。
このおさえた色調がいいです。何となく哀しげな表情もいい。(個人的な好みなんですが、グリム童話で明るい絵を見ると何か違う気がしてしまうんですよ…暗い絵のほうが好き)
画家のホフマンさんはドイツ語圏の方ですから、やはり原作の雰囲気を一番とらえているのでは?と勝手に思っています。
訳文も落ち着いていていいです。子供二人に読み聞かせしてきましたが、分かりにくいということはないようです。
横長の少し大きめな版形は、本棚に入れる時に出っ張ってしまって少し困りますが、読んでいる時の迫力はピカイチ。
ところで、結末は(訳文も)「原作に忠実型」です。なので、読み聞かせしていると就学前の幼児を聞き手に「おおかみ しんだ!おおかみ しんだ!」と大声で叫ぶ破目になります…。
私自身は、「民話は、これでいいのだ」と思っていますが。
抵抗ある方も、いらっしゃるかもしれませんね。
うちの子供たちは、特に結末を怖がることもなく、お気に入りの本になっています。
他の方も書いていらっしゃいますが、最後のページの絵がいいです。
おおかみから隠れるページもいいですよ。子供たちは、文章を読み上げる度に「この子はここ、あの子はこっち」と指さして遊んでいました。