『絵も秀逸』
お話は、言わずと知れた「ねむりひめ」。この本は絵も素晴らしいです。
最近の子供向けの絵本にありがちな安っぽさ、洗練されていないどぎつい色使いはありません。繊細なあっさりした線と、おさえ気味の落ち付いた暗い色調。鶯色とでも言うようなグレイがかった緑色が印象的。森のような緑です。
少々、辛気くさい雰囲気もあって勿論お好きではない方もおられるでしょう。
でも、呪いをかけられ眠る姫の物語の絵にはこのくらいの暗さも合うと思います。描きこまれすぎていない、余白の多さも好きです。読み手が空想する隙間がたくさんあるようで、ゆったり楽しめます。
そして、お話のあちこちに猫がさりげなくいます。フェリクス・ホフマンさんのお嬢さんが猫が好きだったから、お嬢さんのために描き入れたのだとか。
絵に助けられ、隅々まで味わってゆっくり物語に浸ることが出来る絵本だと思います。お気に入りの一冊です。