『最高の贅沢』
小さな頃に読んだ時には、ただただ人魚姫が可哀想で、王子と隣国(?)の姫が憎らしくてたまりませんでした。ですが、大人になって読み返してみると…。人を好きになるというのは、命の恩人だから、というような理屈ではなくて。人魚姫は、幸せな恋人達に横恋慕しているようなものなんですよね…。と、そういう見方が出来るようになってしまいました。そしてそれを思う時に、子供の頃よりももっと人魚姫の悲しみや、王子を殺す事が出来なかった気持が深く深く迫ってきました。それを可能にしたのはこの本のため息が出るほどの美しさと、素晴らしい訳文があったからこそです…!幾重にも重なる繊細な青、蒼、碧。波の雫のスパンコール。美しい人魚の刺繍。どのページを開いても、吸い込まれそうになります。『人魚姫』の決定版と言えるのではないでしょうか。
熱く語ってしまいましたが、値段もお手頃で、宝物の1冊になること請け合いです!!