『数名の毒性に詳しい知識人の評価をももとに最終評価して欲しかった。』
筆者のやや偏った判断で評価されているところもある点が気になりますが、おおむねかなりの成分について網羅されています。
こういう全化粧品成分の評価本で完璧な内容を求めるなら、各原料メーカーや数名の毒性に詳しい知識人の評価をももとに最終評価した方がより緻密で正確な評価本ができると思いますが、そこが残念な点です。
全てはうのみにはできないと思います。例えば、イソプロパノールは、プラスティックも溶かす溶媒として、化学の実験などでは何でも溶かす溶剤として重宝されていますが、その毒性は弱いとされています(化粧品に配合する場合、必要な角質まで取り過ぎ、バリア機能を低下させることが懸念される成分です)。
また、濃度によって毒性がかなり変わってきますが、“実際に配合されている濃度によって判断すればよい”としながらも、その明確な判断基準までは提示されていない点も完璧でないと判断する要因です。配合%を予測することは素人にはできないので、配合%×(危険率)といった計算も普通はできず(そもそもその基準も記されていませんが)、“濃度によって毒性がかなり変わってくる”という点がクリアできていません。点数で化粧品を評価するのであれば、成分の濃度まで判らないと判断できないという趣旨の内容が最初の方の説明で記されているものの、成分の濃度を無視して化粧品の毒性を計算するという本著の点数方式には矛盾があります。ある意味、この点数方式は間違っていると言えます。