『とっつきやすく偏り無く書かれていると思う』
病的なまでのあがり症とでも形容できる社会不安障害の入門書。直接は患者向けに書かれたもののようだが、患者以外の人にもとっつきやすい入門書として役に立つと思う。典型的な症状、脳内のメカニズム、薬、認知行動療法など、かなりバランスよく書かれていると思う。とくに良いのは、病気として診断されるものと普通の上がり症との境界が少なくとも外見上は曖昧であること、精神科医の利用のしかた、薬の副作用にも触れてあることだろう。
また、統合失調症や重度の鬱病とは違って、肝っ玉母ちゃんの子育てや本人の冷静な思考によってかなり対処できる病状であることも理解できる。もっとも、これを精神の病気と言うべきかどうか素人としては疑問ではあるし、この程度なら切羽詰れば自分で思い切った行動をするという形の荒療治も可能な気もするが、本書が悩んでいる本人や家族の助けになることは確かだろう。