『転職の負の部分を指摘するのはいいけど・・・』
早期転職を望む若年層の行動に「待った!」をかける本です。
他の方が指摘するとおり、安易な転職によるデメリットを書くこと自体はとても良いと思います。しかし、極論・強引過ぎる点が多々あります。
確かに退職金の面では転職した方が一般的に損しますが、退職金制度が無い会社から退職金制度がある会社に転職した場合は得なのでは?と言いたくなる。それと時間外手当が全く付かない会社から制限無く時間外手当がつく会社に転職した場合も得をする。
また、なぜ転職した場合には国保になって、転職しなかった場合には組合健保が計算根拠になるのか意味不明。しかも負担額の計算も間違っている。
住宅補助、社宅、交通費についても会社の制度次第だから新卒入社した会社が充実した制度を持っているとは限らない。
結局、1億円損をするという結論を導く為にかなり強引に理論付けています。
今の50代以上が経験した昔ながらの「会社が倒産しない」、「年功序列」、「終身雇用」、「定期昇給」「自動昇進」が維持され続けることを前提に著者は持論を展開しており、さすが社会人経験が無い方だと感じさせます。
今の50代と20代では状況が全く違うのだから、転職だけで損得を論じること自体不可能だと思います。(当たり前ですが、転職に関係なく20代が損)
組合健保が赤字財政で危険なことも、大手各社が属人手当を廃止させる方向で動いていることも著者は知らないのかもしれません。
「転職は損をしますよ」という切り口自体はいいのですが、残念。