『個々の話題を貫くものが弱い』
メディアが官僚や検察起源の情報を無批判にたれん流していること、メディア自身の利害のためにニュースを取捨選択している事実を告発した書だ。取り上げられている話題は、共同通信と北朝鮮の関係、耐震偽装事件の特捜とメディアの暴走(実際は姉歯の単独犯であった)、ライブドア?村上事件の同様な事態、NHKと朝日新聞で争われた『女性法廷』事件での朝日新聞の腰砕け、などが扱ってある。著者はその原因が、記者クラブ制や客観報道主義、新聞の記者に対する締め付けなどであると述べている。
それぞれの事件の見方として、それなりに面白かったが、個々の事件はかなり様相は異なり、全体としてはまとまりなく感じた。私としては、メディアと警察・検察権力が結びついた倫理の押し売りと、法治主義の崩壊に焦点を当てて欲しかった。わが国のメディアの病理が一番現れているのだから。